この「本格推理」は、鮎川哲也氏を編者として、短編本格推理小説を一般公募し、その中から10編ほど選んで文庫本にして出版する、という企画だった。
前作のSNOW
BOUNDに続いて採用された。2年続けて採用されるとは思っていなかったので、びっくりしたのを覚えている。
タイトルは「興味を引くものに」という思いを込めて付けたのだが、鮎川氏を含む編集者の方々には「変態小説かよ?」と勘違いされ、不評だったようである。
今読み返してみると強引な部分もあるな〜、と思う一方、よくこんな細かいの書けたな〜、と自分で感心してしまう。
「本格推理」へはもう一編応募したが、さすが3年連続採用、という訳にはいかなかった。
英語のタイトルはリスクを伴う、と実感したのも本編。カバーの部分が「DEATH OF A DRESS-CROSSER」になってしまっていた。
また、この時点では「荻生亘」という名前で書いていたが、「荻」と「萩」が混同される事態が発生したので、混同される恐れがないと感じた「津村巧」に変更(ま、変更するほどのことでもなかったが)。
「本格推理」シリーズは、これから後に別の推理作家が編集者として新たに加わり、「新本格推理」として再出発したが、「本格推理」の基本方針とは異なるものになってしまった。
|